花を渡すにも

『おかあさんといっしょ』などを手掛けた加藤晃さんの展示をつい最近見に行った。絵、ぬいぐるみ、小道具いろいろ。加藤さんは今年の春に亡くなったそうだ。僕も含めて、いったいどれほどの人が加藤さんに育てられたんだろうと思う。
 
 テレビ番組という媒体のなかで映えるものを作るプロフェッショナルでありながら、人を楽しい気分にするものを手で作れる人。身近な子供を喜ばせるためにお話やキャラクターを作ってしまえる大人がこの世界にはいて、加藤晃さんはその筆頭だと思う。そういう先人から何かを受け取ることができた幸運な僕たちは、それを忘れないようにしなくちゃいけない。
 
……と、大きなことを言ってみたけれど、そう簡単じゃない。 僕たちにとっての困難は、実は喜ばせる何かを作ることではなくて、喜ばせる相手を見つけることなんじゃないかと思う。花を買うお金はあっても、以外と渡す相手は限られる。親戚や近所の子供でも、友達でもいいけど、具体的な誰かを喜ばせようとするエネルギーはすごい。
 三鷹台のスーパーには、なぜかドイツ語で Danke!(ありがとう)と言いながら割引シールを貼ってくれる店員さんがいて、あの人は喜ばせようという気持ちに満ちている。スーパーにそんなの求めてないと言う人もいるかもしれないけど、本当はどこかでそういうのが必要なんだと思う。