野犬のお腹

 最近観た映画の中で、大きな窓の外に大雨が降っていて、主人公が同僚の女性と愛し合うシーンがあった。物語において天気は心情を表す大事な要素だから珍しさは無い。だけど、現実ではどうだろうか。僕たちが生きる現実では、とても悲しい日も、じんわりと嬉しい日も、天気は当たり前にそれぞれだ。
 
 雨の多い9月だった。そして、色んなことが考える9月だった。天気に引っ張られすぎないように気を付けつつ、多少の憂鬱は普通にあるものとして暮らす。本当かどうか知らないけどリリー・フランキーが「鬱は大人のたしなみですよ。それくらいの感受性を持っている人じゃないと、僕は友達になりたくない。」と話したとどこかで読んで、たしなみならそれも良かろうとも思う。
 
 理想を言えば、野犬のようにうろうろする憂鬱を手足を振り回して追い払うような方法じゃなくて、憂鬱のお腹をなでてやってじゃれあうような方法で乗り越えていきたい。
 幸いにも、僕はここのところ紙の本を読める気分が続いていて、1冊読み終えるごとにウム、悪くないぞと思って生活できている。明日はどんな本が売れるだろう。