ペンギンを滑らせる
雪山のコースの上をそりに乗ったペンギンに滑らせるスマホのゲームを少し前までやっていた。ゲーム名も覚えられないような、何とも言えないゲームだ。広告で流れてきて、滑っていたペンギンがかわいかったからダウンロードしてしまった。
結局そのゲームはステージ10くらいまでやって消した。
こういう、無為に時間が過ぎていくゲームをやっては消しを繰り返している。頭の中を空っぽにしたいのだろうなと思う。電車の中で仕事帰りに絶妙なゲームをしている人をよく見かける。あれと同じだ。
頭の中ががらくただらけになりがちな現代の病理!みたいな話は飛ばして、どうやったらすっきりした夜を過ごせるのかを考えたい。ペンギンを滑らせなくても、僕たちは生きていけるはずなんだ。
読書はどうかだろうと考える。僕は本屋なんだから。
僕の感覚だと、気持ちのいい読書とそうでない読書がある。前者が必ずしもよいとは限らないけれど、頭が疲れているときは、僕は青春ものとか熱い展開がある小説を読みたくなる。反対に、静かな憂鬱が横たわっているような好みのど真ん中の小説が読めるときは、元気なのだなと自覚する。
そう言えば「ペンギンが滑っている」かのような本もある。『ハイパーたいくつ』だ。うちの店でも少しだけ扱っている。
出版社が載せている紹介を引用する。
【日常から退屈を引き剥がすつもりが、なぜか服も人生もすべてボロボロに――】職場では1000倍の支払いミス。私生活では高額な衣服の買いすぎでクレカ借金。62万円課金したジャケット姿は無様なペンギンに似ているから「ペンペン」呼ばわり。そんな日常がひたすら退屈。「私は大人になれるだろうか。大人になれなければせめてペンペンとして溺れる姿をみんなに見せなくてはならないのだろうか――」鬱屈アンド窮屈な現実がついに崩壊するとき、壊れた私の壊れた言葉が、壊れた風景を呼び起こす。言葉が現実を食い破る、超現実アルティメット文学!
(河出書房新社のページより)
バカみたいで面白い。ちなみに青春ものではないし、熱い展開も……ない。もしうちの店で買ってくれるひとは注文&取り置きするので言ってください。おすすめです。