夏の花・心願の国

 原民喜『夏の花・心願の国』(新潮文庫)を古書店で手にとって読んでいる。原爆体験を美しい散文で書いた作品が掲載されている作品集という説明を見て気になった。前半に載っている、妻の死を看取る前後を描いた作品まで読んだところ。
 
 確かに美しい文体。個人的にかなり好み。
 病に伏す妻とのやりとりも、自身の心持ちの変化も感傷やナルシシズムに埋もれてしまわずに書かれている感じがする。これで伝わらないならそれでいい、と思っているような感じ。
 僕は20代前半の頃に志賀直哉の『暗夜行路』を読んで、その耽美なというか、どこかふわふわした生の肯定に感動したんだけど、今初めて読むなら原民喜の方がいい。対比するような2人じゃないのかもしれないけど。
 
 年末は感傷の塩梅が難しい。毎年の課題だ。