声を忘れる
いなくなった人の顔より先に、声を忘れると聞いたことがある。確かに、顔は覚えているのにもう声が思い出せなくなった人はたくさんいる。
病気で去る前に、ぬいぐるみの中の機械に録音された母の声を聞いて泣く子供たちの動画を観た。声。音は全身も心も震わす記憶なんだろうと思う。
写真だけではなくて、声も文章も筆跡も、本当はぜんぶ取っておくべきなんだろう。捨ててしまったアルバム、消してしまったレコーディング。気恥ずかしさや煩わしさで放り出されてしまうそれらを、溜めて蓄えておける場所があればいいのに。
今声を聞いたら懐かしくて泣いてしまうだろうな、という人が何人か浮かぶ。
こんなことを考えてこんな気持ちになるのは、年末だからだ。