「えらい」より「かっこいい」
ナメられたくないと思いつつ、バカにされてるなと感じてもヘラヘラしてしまったり、ナメられる前に謙遜したりしてしまう。それを思い出して後悔できればまだいいのだけれど、しっかり板についてしまっている。そうして溜まった怒りが呪詛となって外の世界に向くはずが、半分くらいは自分に返ってきて刺さったりもしていて、棘を抜くのに時間がかかる。年単位で。
好きなアーティストがライブで、同じ舞台に立つメンバーに「慣れない楽器で難しい曲だけどめちゃくちゃ練習して上手くなったよね」と言われ、客席から「えらいよー!」と声がかかる。そのアーティストは不満そうな顔で「なんか………かっこいい、の方がいいな」と答える。それを受けて今度は「かっこいい!」が飛ぶ。そこで初めて本当に嬉しそうな笑顔になる。私は誉められたい子どもでも、頑張っててかわいい存在でもない。そんな気持ちが伝わってきて、とても嬉しくなった。
かわいげは武器になることもあるけど、その武器を手に取らない強さもある。