薬剤師の鍵待ち

 ドラッグストアで痛み止め(ロキソプロフェン)を買った。別にバファリンでもロキソニンでも良かったんだけど、なんとなく第一種医薬品のロキソプロフェンにした。
 
 第一種医薬品だから薬剤師による説明と確認が必要です、と言われてレジで待った。レジのおにいさんに呼ばれた薬剤師はベテラン然としたおじいさん。隣のレジで僕より先に会計をするお客さんに説明している最中で、iPadを持って「使うのは初めてじゃないですね?」「はい」といったやりとりが聞こえる。話はスムーズなんだけど、すべての動作が丁寧で、時間がかかっていた。
 
 僕は「ああ、これは結構待つわ。バファリンにすればよかったかな」と思ったものの、誰を待たせているわけでもないし時間はある。こういう買い物もたまにはいいかと思って待つことにした。
 するとレジの店員さんが薬剤師の人をじっと見ながら明らかにだんだんとイライラしてきていて、僕に向かってたまに「はあ……すみませんね」と言う。大丈夫ですから落ち着いてください。分かるけど。
 
 体感で3分くらい待って、僕の番になった。質問自体は10個くらい。こんなにちゃんと確認するんでしたっけ。
 確認が終わったら薬剤師のおじいさんしか持っていない特別な鍵で棚を開けて、そこからロキソプロフェンを出された。僕はもはやレジの店員さんの機嫌を伺う気分になっていて、彼にとってこのドラッグストアが良き職場でありますようにと願いながら店を出た。
 
 あんなにイライラしなくてもと思ったけど、僕も時間がなかったらああなるだろう。心に余裕がある人になるのも、時間に余裕がある人になるのも、どうしてか結構難しい。
 電車が遅れずに動いたり、雨雲レーダーで天気が正確に読めたりする生活をしてると「レジで思った以上に待たされる」くらいの出来事でもアンハッピーになってしまう。おおらかに生きたい。