イカとクジラ
『イカとクジラ』という映画が好き。離婚する夫婦に息子2人。家族ものだから、人によっては観るのがつらいかもしれない。分かりやすい救いみたいなものは描かれないし。
僕がこの映画が好きなのは、突出した映像技術や意図を感じるカットを使っているわけでもないのに、映像でしかできない表現をしていると思ったからだ。言葉では書けないだろうと思う。
少し話が逸れるけど、「毒親」という言葉が流通したことで親に対する負の感情や、親の問題を少しポップな膜に包んで言いやすくなったと思う。だけど、そうなればなるほど「毒親」の一言で片付けられない思いを持っている人がもやもやしたりすることはあるだろう。それに、家族の苦しみは本当に人それぞれだから、共感の入口として言葉の力を借りることはできても、深いところでは一般化しちゃいけないんだとも思う。
多くの人に共通する問題を語るのは難しい。
認識されるようになって新しい言葉が広まっても、「ああ、いわゆる◯◯ってやつね」と話せる人もいれば、何も言わずに聞いているだけの人もいる。
『イカとクジラ』は毒親の話だと言う人もいる。僕は別の理由で薦めたい。この映画は、あのときあの場所にいた、あの少年の話だ。