ロマンチック

 ずっと、プレゼントをすることに苦手意識があった。誰にあげるにせよ、その人がもらって嬉しい物とか「こういう関係性ではこのくらいのものが良い」という塩梅がよく分からなくて、結局選んだものが駄目だったらしいと相手の反応から分かる。そういうときは半分いじけたような気持ちになり「真剣に選んだのにまた駄目だった」と考えたりしてしまう。
 
 最近、これはロマンチックな思い込みから生まれる失敗なのかもと思う。相手のことを思って長い時間お店を周り、喜んでもらえるかなと悩んで悩んでプレゼントを決める。買ったときには完全に「プレゼントを開けた瞬間に大喜びする相手」のイメージができてしまっていて、この後会う予定の本当の相手の姿は見えなくなってしまう。
 
 恋愛に限った話でもないのに「ロマンチック」と表現したのは、相手に対する気持ちというより、自分自身が素敵なプレゼントを選べるかっこいい人だと思っていたり、そうなれると信じていたり、そういう、自分が真ん中にいる世界に焦がれる気持ち。それをずっと捨てきれないでいる。
 
 小さなプレゼントが上手な人は、物だけで勝負するのではなく、話題提供も込みで贈り物をする。「最近ハマっちゃってここのお菓子ばかり食べてるんだ。甘いもの好きだっけ? ほら、あの新しくできたとこの3階のお店。行ってみた? 行ってみて。僕はおしゃれすぎて緊張しちゃうんだけど、でも美味しいよ。これ他にも色んな味があってね」などと話していれば、お菓子の味は普通でも「◯◯さんに変なおしゃれお菓子もらった」というオモシロがひとつ生まれる。
 
 ちなみに、僕の歳になっても世界に対して「ロマンチック」であること、つまり変にかっこつけていることは悪いことばかりではないだろうと思っている。かっこよさは、本当にかっこいい人だけのものではないから。