ラーメン

高円寺でバルサミコ酢がかかったレアチーズケーキを食べて、なんか少し元気になった。その時に高円寺までわざわざ訪ねてきてくれた人との話にも救われた。
ぜんぜん関係ない(こともないけど)大学生のときに一番通っていたラーメン屋が今月末で閉業することを偶然知った。大学から二駅、当時住んでたアパートの最寄りだった。あんなに意気揚々と入った大学で、勉強も人間関係もいまひとつ上手く行かず、自分は何がしたくて、なんでこんな日々を送っているのか、夜中までぼーっと過ごして、朝はぐだぐだ。眠れなくて深夜にバッティングセンターに行ったり、安いワインで無闇に酔ったりした。授業の内容もよく分からなくて怖くなる。起き抜けに大学に向かい、友達に「ヒゲくらい剃ってこい」と言われてむすっとしながらのそのそと帰ってきて、そのラーメン屋に入る。すでに朝から何食も食べたのに、また食べないと不安になる。昼に醤油ラーメンを食べて、夜にもその店で醤油ラーメンを食べる。1日に何回も来るからか、表情が最悪だったからか、店主のおやじさんが「今日のチャーシュー、余ってるけど食べる?」と声をかけてくれて、いただいて、お礼を言って帰った。
当時はラーメンブームだったから、有名ラーメンのために遠出する友達もいた。そんな友達の1人を連れて行ったら「まあ、ふつう」と言うような、確かに普通のラーメン屋だったけど、僕にとってはあの煮え切らない時期、底抜けのモラトリアムと日々のわけの分からなさの中で食べた醤油ラーメンと、恐らくは余ってなんかいなかったチャーシューの盛り合わせは、ぜんぜん「ふつう」でも当たり前でもない。
その店のGoogleレビューには「店主の態度が最悪。歳をとったからか味も落ちてる。」「何もかもダメ」と書かれている。あんたらに何が分かるんだと思う。あの夜のチャーシューを食べてもいないくせに。